今年一月に、六本木・俳優座劇場にて上演した、
門野晴子原作「わがババわがママ奮斗記」(脚本・杉浦久幸/演出・西川信廣)が
大好評につき、早くも来る十月九日より、日本橋・三越劇場にて、
劇団のオリジナルキャストで再演することに決定しました。
「老人介護」という現実を前に、祖母、母、娘の三代の女性が
たくましく生きる姿を明るいタッチで描いたこの作品は
俳優座劇場公演の後、仙台及び東京近郊を巡演し、
各地で好評を得ました。
今回の三越劇場公演では、脚本をさらに練り直し、
また新たな形での再演となります。
「わがババ―」東京再演にあたり、主演の長山藍子に話を聞きました。
―― 「わがババ―」が早くも東京で再演になりますね。
長山 ええ。初演の俳優座劇場でたくさんのお客様に観ていただいて、
今、現実に三越劇場も含め、日本全国を廻るようなプログラムが組まれていくって事は、
それだけ皆さんが観たいなって思えるような芝居になったのかもしれないと
嬉しく思っています。
―― 三越劇場で劇団朋友が公演するのは初めてのことですよね。
長山 そう。私自身はこれまで何回かやらせていただいていますけど、
劇団公演としては初めてで、
そういう意味では劇団の歴史に残る画期的なことと考えていいかもしれない。
新劇の劇団にとっても歴史のある三越劇場でやれるということは。
―― しかも、劇団のオリジナルキャストですものね。
長山 うちの劇団は、今現在、直面している問題をテーマに、
人間と人間の愛のあり方とか、そういうのを含めて創作劇をつくってきたでしょう、
特に「わがババ―」のような現代的なテーマの芝居の場合、
みんなで一生懸命創り上げていくという姿勢がとても大事だと思うのね。
そうした結果がある種のアンサンブルを生んで
好評をいただいたことにもつながったんだと思いますから
オリジナルキャストで臨むことができるのは嬉しいですね。
皆でいっそう努力していい舞台にしていきましょう!
―― 企画があがってからも随分時間をかけてますよね。
長山 そう。やっぱり本公演でやるからには本当に真剣勝負だし。
もちろん、スペース公演でもアトリエ公演でも一本一本真剣勝負なのだけれど、
本公演には、劇団活動を潤滑に運営していくという
経済的な責任がかかっているわけだから。
だって、劇団運営って本当に大変でしょう。
劇団の活動は本当にお客様に支えていただかないと成り立っていかないもの。
だから、本公演では経済的な基盤を作るためにも、
全国規模のたくさんの人に観ていただける、本当にいい芝居を創りたいと思うの。
いい芝居を創れば次のお客様が増えてくださる。
お客様が増えれば、皆がまた次にやりたい芝居を考えられる事につながるわけだから、
頑張りたいと思うわ。
―― 本当に今、劇団経済は「わがババ―」にかかっていますものね。
長山 責任重大よね。
私、若いころは運営のことなんて全然気にしていなかったけれど、
もし、そんなことが自分の肩にふりかかってくると分かっていたら、
さっさと劇団を逃げ出していたかもしれない(笑)。
こんな苦労しなくても、どこだってお芝居はできるんだもの。
杉村(晴子)先生や東山千栄子先生に「あなた、よくやってらっしゃるわね」
ってよく言っていただいたことがあるけど・・・・・・。
―― それでも藍子さんが劇団に残っている訳は?
長山 こんなに借金が残っているのに、私一人出ていけないでしょう(笑)。
みんな芝居が好きでバイトしたり苦労して頑張ってるんだものね。
劇団は裏方も表方も含め、
皆で一つの者を創っていくという姿勢をもっている人たちの集まりだから、
そこが好きだし、大事に思うの。
私、劇団の公演、特に本公演の場合は
なるべく大勢の人が参加できる作品をというのが願いなのね。
それが皆で創ることにつながると思うし。
そういう意味でも「わがババ―」が、
結果としていい方向になってそれが何より嬉しかった。
演出の西川さんをはじめ、脚本の杉浦さん、原作の門野さん、
スタッフの皆さんにはほんとに感謝しています。
―― 西川さんの演出は初めてだったんですよね。いかがでしたか。
長山 敬愛しています! 西川さんは一人一人の俳優を尊重してくださる。
俳優がどう出るか待ってくれるし、引き出してもくれる。
そして、稽古場は楽しくなくちゃっていつもおっしゃるでしょ、
本当に芝居を愛している方だなあって感じるの。
今回西川さんに出会えたことは、皆にとってすごく勉強になったことだと思います。
―― 役づくりで苦労したところはありますか。
特に「わがババ―」の主人公「洋子」のモデルは原作者の門野さんであるわけですよね。
長山 それに関しては、私最初に門野さんに申し上げたの。
「門野さんみたいにはなれないし、門野さんではない私がやるので、
その部分は許してね。」って。
そしたら「もちろん長山さんにお任せ!」って言っていただいたので、
すごく楽になりました。
―― 藍子さんの地に近いというイメージもありますが、
今までやってきた役柄と比べると、
役者としての藍子さんとしては新鮮な感じですよね。
長山 洋子さんイコール、ある意味で門野さんだから
私とは全然違うと思うのだけれど、
洋子さんは、一般女性という概念でいうと日本人には珍しい、主体的な人間だと思う。
論理的だし。でもそれをそのまま舞台の上で押し付けるのではなく、
演じる場合には、あたかもそこに生活しているように演じなくちゃいけないと思うのね。
観ている方が、「あの人に似ている人いるわね」って思えるような。
だから「地でやっているんでしょう。」って言われることは
誉め言葉だと思って聞いています(笑)。
これから来年、再来年にかけて全国の鑑賞団体を廻るわけですが、
久々に皆様にお目にかかるのを楽しみにしています。
まずは、十月の三越公演、みんなで一生懸命頑張ります!
劇団朋友をよろしく!
インタビュアー 木野しのぶ
松川 美子