「モノローグ」

文・渡辺 弘

野球のボールを軽く握り、先輩にひょいと投げる。
白球は、空中を、放物線を描きながら、飛んでは行かない。

いくらノーコンとは言え、ボールが相手の右か左にそれる位だろう。
しかし、私の投げたボールは、自分の足元に叩きつけられたり、
何故か真横に飛んでいったり・・・まさに、明後日の方向に飛んでいく。
自分で投げているのに何処に飛んでいくのかわからない。
人にぶつけるんじゃないか窓ガラスでも割るんじゃないかと、
妙な想像が膨らみ、ボールを握る掌が汗ばむ。
先輩曰く「下手クソ!野球もしたことないのか!」


そうは言われても・・・・・・子供の頃から野球をした記憶はほとんどない。


まず、私が住んでいた街には、野球やキャッチボールが出来る場所がなかった。


学校の校庭や公園も狭く、キャッチボールでもしようものなら、
相手との間に低学年生が走りこんできたり、
女の子たちが縄跳びなどを始めてしまうのだった。
危なくて野球どころではない。
家々がひしめき合うこの街には、空き地もなかった。
我が家など、窓を開ければ子供の手でも隣の家の壁を触ることさえ出来た。
日当たりがどうのこうの問題じゃない。
一度、鍵を忘れてしまった時に、隣の家に上がらせてもらって窓から窓に移り帰宅したことがある。


川原などで石とかを投げたりしなかったかと聞かれたが、
この街には、川もなかった。あるのは、コンクリートに覆われた上水道だけ。
花壇や遊具のある細長い公園だとばかり思っていたのに、
この足元に川が流れていると聞かされ、あまり跳ね回ったりすると、
地面が崩れたりしないかと心細くなったことがある。

そして、幼少時代あまりに内向的だった私は、
キャッチボールをする友人もいなかった。

仕事で忙しすぎる父親とも、
公園などに行ってボール遊びなどをした思い出はない。

あらぬ方向にボールを飛ばしながら、苦笑をかいながら、
劇団の仲間と野球をする時間も、
昼も夜もない忙しさに追われ、最近はなくなりつつある。



☆渡辺弘さんについて一言二言☆
弘さん、ジハードでは私を裏切った恋人役お疲れ様でした。
次の『それどころでない人』では、思いやり溢れる私の兄役ですネ。
弘さんは実際妹さんがいるせいか〈優しいお兄さん役〉がよく似合う気がします。
劇団内でも色々頼りにされる存在だし。私が一番弘さんに頼りたい時は、
小道具を自分で作らなくてはならなくなった時。以前、作ってくれましたよね。
その節はありがとうございました。今後も作って下さい。
それと私に山登りの素晴らしさを熱心に語って頂いても困るんです。
疲れるし蚊に刺されるだけなんだから、弘さんもやめた方がいいですよ。
山登りの話より、日本酒について語った時の方が数倍面白かったです。
私の弘さんのイメージは、日本酒を飲みながら、
顔を真っ赤にしてDMを書き続けている姿です。
また7月もそんな感じで一緒にがんばりましょう。

 by 弓場沙織






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