ジハード旅日記 ―春は嵐の巻―
3月1日『女たちのジハード』の2003年旅公演が始まった。
実は私自身、初めて参加する旅公演だった。
私にとって試練の「旅」であったが、『ジハード』という作品にとっても試練の「旅」だった。
100席程度の小さな劇場仕様のお芝居として産声を上げた『ジハード』。
好評を博したが、全国の皆様に観劇して頂くには、中・大劇場での上演も可能な作品が条件。
4年をかけ、演出も演技も、セットまでもが進化した。
が、千人超の大ホールで果たしてどのような結果が出るのか??
劇団員も皆、自負心ともども不安を持っていた。
そんな重大な使命を担う、今回の「旅」に随行する「制作」はまるで新米。
私より、一緒に旅する劇団員の方が、より不安なはずだった。
旅公演では、市民劇場・演劇鑑賞会の方々や、ホールとの打合せは勿論、
それ以外にも、「制作」として実に多くの「やるべき仕事」が待っている。
段取りの仕方は事前に習っていたが、実地は違う。
ブレーキとアクセルとハンドル。
各々の役割を知っていても、スイスイ運転はできない。身体がまだ覚えていないのだ。
慣れないから、仕事が「津波」の如く迫ってくる。
3秒に1回手帳を確認しても、5秒毎に不安になる。
「移動の列車の予約まだだ!
あれ、会場から宿までタクシー何台だ?
そうだ明日の集合時間を皆に知らせてない!
え? まだ昼の弁当届いてない?
ああ、ホテルの部屋割りも決めねば!」……
はて? 私の仕事は「ツアーコンダクター」?
(全国の「制作」志望の皆さん!こ・れ・も・「制作」の仕事!)
私の落ち込みとは無縁に時は進み、大ホール公演も遂に始まってしまった。
コーヒーでも飲んで少し冷静にならねば…。
そう思い楽屋に用意された劇団員達の憩いの場、通称「お茶場」に向かう。
積み上げられたコーヒーカップに手を伸ばした時、
初めてカップ毎に旅のキャストとスタッフ一人一人の名前が入っていると知った…。
…そしてその中に自分の名前のカップを見つけた時、
ああ、自分も「旅」の一員なのだと、しみじみと感じた。
やる気が再び出てきた頃、芝居も終わった。
ロビーに出てくる皆さんの顔は…
笑顔!笑顔!笑顔!!!
自然ガッツポーズが出る。
作品『ジハード』は確実に一つのハードルを越えたようだ。
次は私の番だ。
落ち込んでいられない。
ミスもあるが、まずは精一杯やろう!
「旅」の仲間と認めてもらえるように!
〈制作部 西本 貴〉
次回『女たちのジハード』は10月6日(月)〜8日(水)
ねりま演劇を観る会にて上演予定