視つめる画家
視つめられるモデル
・・・その狭間に「嘘」と「真実」がせめぎ合う。
大正文化に一世風靡した三人の天才画家・・・
抒情画の竹久夢二
責め画の伊藤晴雨
洋画の藤島武二
作風も生き方も年齢も世間的評価も全く違った彼らに、
たった一つの共通項があった。
それはモデル。
三人の画家が執拗に描き続け、
そして愛し、いがみ合った、一人の伝説のモデルがいた。
ある画家は《嘘つきお兼》と呼んで弄んだ、はずだった。
ある画家は《カネヨ》と本名を優しく呼んで保護したつもりだった。
そして夢二は《お葉》と名付けて愛人とした。
このドラマは、そうした事実から、
一人の女性の幻想的なイメージをはばたかせる。
時代、男、女、そしてモデル
明治の末から大正にかけては、
日本でモデルという仕事が華やかで未知なる場に台頭した時代であった。
それはまた、「女の権利」にようやく女性自身から声があがった時代の
象徴的な現象だった。
作風の異なる3人の天才画家は一人のモデルの中に、
それぞれ何を発見し、何を描こうとしたのか?
「視つめられる」存在であったモデルは、その強烈な呪縛にさらされながら、
なにを考え、何を求めていたのか?
そして愛の放浪者竹久夢二をめぐる数々の女たち、
たまき、彦乃、お葉、順子などなど・・・
一人の男をめぐる女たちの出会いと葛藤、自立への模索。
男と女、男と男、女と女の、だまし合い。
いがみ合い。
もたれ合い。
そして、愛。
歴史の闇に消えてしまった。《お葉》の生涯を再浮上させながら、
現代を生きる女性たちとの共通項を、物語は描き出していく。
歴史の狭間に埋もれた女性を掘り起こして話題の金森敦子の原作。
平成11年芸術祭大賞に結実した
「わがババわがママ奮斗記」を脚色した杉浦久幸の脚本。
「私をよみがえらせて!」「帰去来」で若い精神の葛藤を描いて評価を得た
吉原廣の演出。
透明感にあふれた、哀切かつ笑劇的空間にご期待ください。