私の劇団内での立場は役者である。
しかし、演出部の少ない朋友では、
舞台の上で演技をする以上に様々な仕事をしなくてはならない。
大道具、小道具、衣装。
また、制作の仕事を手伝ったり、当日の劇場受付を行う場合もある。
そして、今回『女たちのジハード』で私に割り当てられた仕事は
演出助手であった。
でも、演助(演出助手)って何?
わからないままスタッフの打合わせに参加した・・・・・・。
八月六日(金)美術、衣装の打合わせ。
初めて演助として演出の宮崎真子さんと会う。
若くて、かわいいおもちゃみたいな人。
でも、まだ未知の人なのでちょっと怖い。
衣装の加納さんは力強い印象の女性です。
美術の二村さんは繊細な感じ。
この日驚いたのは、各プランナーの仕事の早さ。
この段階で衣装は、登場人物の場割毎の香盤表があり、
美術に至ってはおもちゃ箱のようなユニット(箱型のセット)を動かして
場面転換をする舞台を提案。
最終的にこのセットが『女たちにジハード』に欠かせない
13人目の出演者となるのでした。
私は、演助として資料集め等の宿題をいただき打ち合わせ終了。
八月十四日(土)音楽、照明の打ち合わせ。
音楽の後藤さんは若いこともあって気軽に話が出来そうな人。
照明の小川さんは朋友がよくお世話になっているスタッフさんだ。
八月十六日(月)稽古初日。
始まる前に台本第6稿の製本作業。これが上演台本となる。
午後2時から稽古開始。外部出演の村山さんと白井さんはどの様な人か。
また今日は脚本の松田伸子さんもみえて、いやが上にも緊張が高まる。
稽古はスケジュールの確認から始まった。
最初の1週間は台本の研究を交えながらの本読み。
初日の今日は登場人物に付いて共通認識を持つための話し合い。
その後、全体を流して読んでみる。
面白い! 原作も面白いけどそれとはまた違った面白さ。
本番が待ち遠しい。アトリエでの稽古終了まで42日。
八月十八日(水)三日目。
稽古終了後、スタッフ会議。
衣装は人物毎のリストが出来上がり、美術は模型が持ち込まれ、
立体的な舞台の創造が始められる状態になった。
八月二十五日(水)
本物のロッカー2台が運び込まれる。
着替えが大切な手順となるので、
前日の稽古を見て小道具屋から借りてきたのだ。
八月二十六日(木)
平木とリサの出会いのシーン。
セミナー会場でトロロに卵を入れて食べる平木。
何度も繰り返される稽古。
その度にトロロ卵を食べる大黒君。
八月二十八日(土)稽古お休み。
休みを利用して、皆でトマト農家を見学に行く。
車3台に分譲し、一路八ヶ岳山麓まで。遠足気分。
畑は台本の通り。
「トマトは地面に這わして育てているんだよ〜
近くに八ヶ岳が、遠くに南アルプスが見えてね、
心底、山の神様に収穫を感謝するんだ。」
松浦の声が聞こえてくる。
皆、次から次と質問していく。
帰りには加工用のトマトをお土産にもらい、
舞台で使う分を送ってもらう約束までして畑を後にした。
九月三日(金)
稽古前に東京地方裁判所に競売物件の入札を見学に行く。
執行官の話す内容や口調など稽古場に持ちかえって参考にさせていただきます。
九月六日(月)稽古四週目。
朝、稽古場に入った瞬間、誰もが驚いたはずだ。
なぜなら、そこには本番さながらのセットがあったのだから。
前日の休みにスタッフが作り上げた二つの動く大きな箱。
これが有るのと無いのとでは稽古が全然違う。
一番喜んだのは演出家だった。(と思う)
何しろ目の色が変わったんだから。
この日から出演者がもう1人増えたことになる。
九月十日(金)
前日体調不良を訴えていたリサが倒れた。
40度近い熱があるとのこと。一日休んで様子を見る。
皆疲れが溜まってくるころだ。
九月十一日(土)転換稽古。
転換稽古は、まずスタッフだけで。次に役者を交えて行う。
予想以上に時間が掛かり、転換以外の稽古が出来ない。
しかし、これが決まればそれだけで一見の価値がある。
ここは辛抱強く丁寧に。
九月十四日(火)
始まる前に損害保険会社を見学に行く。
お昼休みにお話を伺った方達は
どこかしら登場人物たちとダブっていて興味深い。
九月十五日(水)
清野さんがリサーチのため弁護士事務所を訪問。
青年弁護士とはいかなる人物だったか、後で聞いてみよう。
九月十七日(金)
衣装合わせ。終了後、全幕通し。
九月二十日(月)稽古六週目。
小道具で必要な物が出そろってきた。
作り物が多く、スタッフが遅くまで作業する日が続いている。
九月二十一日(火)
今日から音響の小沢さんがついてくださる。
一幕の曲も届き芝居と合わせてみる。アップテンポで乗りの良い曲だ。
九月二十五日(土)
衣装パレード。衣装はほぼ揃った。
九月二十六日(日)稽古最終日。
作品の仕上がり具合は上々。出演者も手応えを得ている様子。
いよいよ明日から中野のザ・ポケットだ。
九月二十七日(月)舞台仕込み。
朝九時から劇場入り。
九月二十八日(火)テクニカルリハーサル。
しかし、予想以上に時間が掛かりそうなので
転換稽古をしながらの場当たりを行う。
九月二十九日(水)本番初日。
ラストシーンとカーテンコールの場当たり終了後ゲネプロ開始。
稽古場でのタイムより随分と早い。
やはり本物のセットだと転換のスピードが違うらしい。
以降芝居の時間は見事に毎回一緒でした。
午後七時からいよいよ本番。
午後九時四十分満員のお客様の拍手とともに無事終了。
以後十月三日(日)の千秋楽まで、
客席の拍手が途切れることはありませんでした。