特集
 長山藍子、芸術祭大賞受賞!!

『わがババわがママ奮斗記』の長山藍子 平成十一年度 芸術祭大賞受賞!
昨年十二月十七日、文化庁より、三越劇場十月、
劇団朋友公演『わがババわがママ奮斗記』における主演の長山藍子の企画と演技に対し、
平成十一年度芸術祭演劇部門において、大賞授賞の発表がありました。
本年一月十八日都内ホテルにおいて、授賞式がおこなわれる予定です。

受賞の喜びしみじみと・・・
 芸術祭賞発表直後の喜びを長山藍子に語ってもらいました。

――大賞受賞おめでとうございます。
長山 ありがとうございます。
――まず、受賞した感想を一言お願いします。
長山 知らせを受けた時は思いもよらないことに、ただもうびっくりしました。
でも、今こうしてたくさんの方々からのお祝いのメッセージやお花にかこまれて、
やっと実感が沸いてきています。
原作のエネルギーを下さった門野晴子さん、
懐の深い演出で導いて下さった西川信廣さん、
脚本でスクラムを組んでくださった杉浦久幸さん、
美術の石井強さん、照明の小川幾雄さん、音楽の上田亨さん、
音響の斎藤英士さん、この芝居創りに参加してくださった皆様に
感謝の気持ちでいっぱいです。
――初日が開くまで本当に大変な毎日でしたよね。
長山 ええ。私の家で西川さん、杉浦さんを交えて
何度も真夜中まで台本を検討したり・・・。
今年一月の俳優座劇場での初日は、不安と緊張でいっぱいでした。
でも、幕が開いたらお客様の反応が凄くて・・。
評判をいただいて、それが十月の三越劇場の公演につながった。
ただ皆で一生懸命で、賞をいただけるなんて夢にも思っていなかったけれど、
今こうしていると、これまでのいろんなことが思い出されて、
本当に感無量と言うか、感慨深い気持ちです。
俳優座養成所を卒業して四十年近く、ずっと劇団でやってきて、
その間分裂や解散や本当にいろんなことがあって、
くじけそうになる時もたくさんあったけど、
劇団が朋友になってようやく皆で創り上げた芝居が今回の賞をいただくことになって、
やっとかすかな光が見えたような気がして、
これまでの長い年月を思うと、本当にしみじみとした嬉しさを感じます。
この賞は劇団の皆でいただいた賞だと思っています。
――今回、企画と演技に対しての授与ということですが、
どういう点がポイントになったと思いますか?
長山 企画性ということではテーマが《今》だったということだと思います。
介護問題を日本中が少しずつ認識するようになって、
観てくださったお客様にも、
面白さの中に人ごとではない問題を感じ取っていただけたということだと思います。
演技に関しては、脇坂洋子というある種過激な人物を、
特殊な人ではなくどこにでもいそうな普遍性を持たせた人物に表現することが
私の課題でした。それがうまくできたかどうかは自分ではわからないけれど、
あれだけの深い想いを持った人物を、
理屈を表面に出さずにカラリと演じられたことが、
観てくださった方に気持ちが良かったのかなと思いました。
――来年、再来年と旅公演が続くわけですが、これから観ていただく方々に一言・・・。
長山 今回の受賞は、市民劇場の皆さんはじめ
たくさんの方々の支えがあったからこそのことで本当に心から感謝しています。
これを励みにもう一度心を引き締めて、
毎回のステージを新鮮な気持ちでつとめてゆきたいと思っています。
どうぞ皆さん楽しみにしていてください。
そして二〇〇〇年も引き続き劇団朋友をよろしくお願いします。
※ (昨年99年12月19日長山宅にておこないました。)
インタビュアー・木野しのぶ


受賞によせて
 関係者諸氏より
お祝いのメッセージを戴きました。

原作 門野晴子
 芸術祭大賞受賞、おめでとうございます!
 賞というものに縁のない私なので、自分がいただいたようにうれしい。
晴れがましい芸術活動の一端に加えていただけた幸運を、
いまさらながらかみ締めております。
 そしていまさら言っても遅いけれど、このお芝居はカゲキです。
「子が親を看るのは日本の美風」との政治家の言と、
真っ向から対立するセリフに溢れているからです。
 そのヒロインのセリフを叫びたくとも叫べない多くの女が、
舞台に想いを重ねて泣き笑いする様を思い起こし、
受賞の社会的重みに涙が止まりませんでした。
 私は目一杯叫んでいる恵まれた状況ですが、老親介護から逃げられません。
逃げられても逃げられなくても私の精神は地獄ですし、
それを察する母も内面は地獄です。
 なぜならゴールドプランも介護保険も「女が親を見るのは日本の慣習」であり、
ちょっと手伝ってあげようという程度が現実。
どちらかが死ぬまで解放されないのです。
 その重さを内包したカゲキな舞台が芸術祭で承認されたということは、
ズルッと一歩山が動いた感じです。
老い病んだ人とやさしく共生できる社会に向かって・・・・・・。
 最後に、老母は「そう、それはおめでとう」とえらそうに、
米・バークレーの娘は「よかった、よかった。ママがもらえればもっとよかった」
と申しました事をお伝えします。

脚本 杉浦久幸(劇団もっきりや代表)
 長山さん、朋友の皆さん、芸術祭大賞受賞おめでとうございます。
 脚本を立ち上げていくかなり初期の段階から助言や激励を頂き、
今から考えると、深い考えもなしに突き出された台本に、
辛抱強く付き合って貰い、僕としては
想像もしなかった舞台空間へ「連れて行って頂けた」と思っています。
俳優座劇場、三越劇場と客席から舞台を観て、
「進化」していく舞台のダイナミズムを感じました。
主演の長山さんをはじめ、キャストのみなさんのすばらしい演技に、
そしてスタッフのみなさんの御努力に心より喝采を遅らせて頂きます。
来年からはいよいよ介護保険もスタート、
この舞台の持つ意義もますます奥深いものになっていくと思います。
そうした劇団朋友の芝居に関われたことに感謝しながら・・・・・・
重ねて御祝い申し上げます。

更なる飛躍を!
演出 西川信廣

 藍子さん、芸術祭大賞受賞おめでとうございます。
本当によかった。
「賞なんて、思いもよらなかった」と仰ってましたが、
私の経験でも賞というのは思いもよらない時に戴けるものです。
 思い返してみれば『わがババわがママ奮斗記』は
門野さんのパワフルな原作を舞台にする過程がまさに「奮斗記」でした。
準備や稽古時間にも限りがあったし、
一時は「大丈夫かな?」と不安になったこともありましたが、
そこは藍子さん以下劇団員のチームワークの良さと奮闘努力に支えられて、
私も挫けずに良い仕事が出来ました。
そして、今度の賞、こんな嬉しいことはありません。
言うまでもなく劇団は一人の力では成立しません。
今度の賞も劇団員みんなで戴いたと言えないこともありません。
しかし、やっぱり藍子さんの頑張りがなければ賞はなかったでしょう。
これを一つのステップに更なる飛躍を!
そして、藍子さんと劇団朋友との次の仕事を心から楽しみにしています。